Apple MusicやSpotify、Amazon Musicといった主要な音楽ストリーミングサービスに、自作曲を登録してみませんか。
曲が配信されると、再生数に応じて収益を受け取ることができるようになります。
これら大手の音楽ストリーミングサービスでは、個人が直接曲をアップロードすることはできないので、音楽配信代行サービス(音楽ディストリビューター or アグリゲーターとも呼ばれます)を利用する必要があります。
音楽配信代行サービスを使うと、ストリーミングだけでなく、iTunes Storeなどでダウンロード販売することも可能です。
YouTubeで曲が使われると収益を受け取ることができる、YouTubeコンテンツ収益化サービスに対応しているところもあり、自作曲を最大限収益化することができます。
今回は、音楽配信代行サービスのオススメ10選を紹介します。
手数料について
サービス各社の紹介の前に、まずは手数料について。
配信代行の手数料は、だいたい以下の4つのパターンに分かれます。
1. 楽曲登録料 + 売上の何割かを徴収される(1回払いきり)
2. 売上の何割かを徴収される(楽曲登録料は無料だが1よりもパーセンテージが大きい)
3. 楽曲登録料 + 年間更新料(曲数等、個別にかかる)
4. サブスクリプション(月額制/年額制)
1と3は個別(シングル/アルバム)に登録料がかかりますが、4はサブスクなので、何曲登録しても支払う額は同じです。
売り上げの何割かを徴収されるパターンは、還元率というもので表されます。たとえばこれが80%となっている場合は、80%が自分の手元に来て、20%が配信代行会社に徴収されることになります。
4つの中で、個別に手数料がかかり年間更新料を払い続けないといけない3が一番コスパが悪いように見えますが、その代わり還元率が100%というメリットもあります。
再生回数が見込めるライブシーンですでに知名度がある人や、SNSのフォロワー数が多い人に向いています。
更新をやめてしまえば曲の配信も止まるので、期間を決めて、思うように収益が得られなかった場合はそこで切り上げる、という感じでやってみるのもいいかもしれません。
音楽配信代行サービス各社の紹介
ここからは、音楽配信代行サービス各社を紹介していきます。
配信代行サービスは国内外にたくさんあるのですが、メジャーなものをピックアップしてみました。音楽配信をする予定があるなら、この中から選べばOKです(※記載してある価格はすべて税込)。
narasuからROUTER.FMまでが日本のサービスで、LANDRから下が海外のサービスになります。
基本的に海外サイトのほうがコスパに優れていますが、日本語対応していないことや決済手段が限られること、日本国内のストリーミングサービスへの配信が充実していないことなどデメリットもあるので、優先すべきポイントをはっきりさせた上で選択することをオススメします。
日本語対応に関しては、Google Chromeなどのブラウザの翻訳機能を使えば、特に支障なく手続きできると思います。
配信先について
音楽配信サイトというのはたくさんありますが、どれだけの数のサイトに配信されるかは、配信代行サービスによって変わります。
とはいえ、Spotify、Apple Music(&iTunes Store)、Amazon Music、YouTube Music、この4つのメジャー配信サイトがカバーされていれば、とりあえずは大丈夫です。収益が上がってくるのもだいたいこのあたりからなので。日本のリスナーをメインに考えているなら、LINE MUSICも押さえておきたいところです。
この記事で紹介している配信代行サービスはすべて、Spotify、Apple Music(&iTunes Store)、Amazon Music、YouTube Musicに配信しています。
また、日本の配信代行サービスはLINE MUSICにも配信しています。海外サービスでLINE MUSICに対応しているところについては、各サービスの紹介文に記載してあります。
VOCALOID楽曲の配信について
日本の配信代行サービスでは、VOCALOID(ボーカロイド)を使った楽曲において、タイトルやジャケットにそのキャラクターの名称やイラストを使うことが許可されています(※利用可能なキャラクターのみ。キャラクターは配信代行サービスによって異なる)。
つまり「曲タイトル feat. VOCALOID名」といった感じで登録できるということです。イラストは、オリジナル画像ではなく二次創作のものである必要があります。
ただし、多くの配信代行サービスではキャラクター使用料が発生します(販売収益の15%程度のところが多いです)。
例外は、初音ミクの開発元であるクリプトン・フューチャー・メディアが運営するROUTER.FMで、使用料なく使うことができます。
narasu
narasuでは、日本の配信代行サービスではあまり見ないサブスクリプションを採用しています。月々110円で配信し放題です。
また、1回払いきりのほうも、還元率が90%とかなり高くなっているのでオススメです。
海外サービスのほうがコスパに優れている、と前述しましたが、それらに対抗できる料金プランだと思います。
利用料(1回払いきり)
・楽曲登録料+売り上げから徴収されるパターン(年間更新料なし)
・還元率90%
シングル | 2,860円 |
アルバム | 5,500円 |
利用料(サブスクリプション)
・サブスクリプション(月額制)
・還元率90%
月額料金 | 110円 |
あわせて読みたい>>narasuで自作曲を配信してみた-登録方法・料金プラン解説
TuneCore Japan
日本における音楽配信代行サービスの中で、おそらく最も有名なのがこのTuneCoreです。運営母体はアメリカなのですが、日本法人が作られているので、すべて日本語で手続きをすることができます。
TuneCore Japanの強みは、独自のイベントやオーディションを頻繁に行っているところです。
年間更新料がかかるタイプなので、単純にコストをかけずに音楽配信をしたい場合はほかのサービスを検討したほうがいいと思いますが、ある程度曲の収益が期待でき、なおかつプロ志向でいろいろなイベントやオーディションに参加してみたいという方にはオススメできるサービスです。
ちなみに上記リンクからアカウント登録すると、初回シングル配信1年が、50%OFFになるクーポンをゲットできます。お試しでやってみたい方はぜひ。
利用料
・年間更新料タイプ
・還元率100%
・シングルは1曲10分以内、アルバムは2曲以上で各曲10分以内
1年間 | 2年間 | 3年間 | |
シングル | 1,551円 | 2,915円 | 4,169円 |
アルバム | 5,225円 | 9,416円 | 13,607円 |
BIG UP!
かつてmuzieという日本最大級のインディーズ&アマチュア音楽コミュニティーサイトがあったのですが、運営会社がエイベックス・エンタテインメントに変わり、BIG UP! FREEとして再スタートすることに。
そこからさらにサイトの方向性の変更があり、現在はBIG UP!として音楽配信を代行するサイトになりました。
常時複数のオーディションを開催するなど、配信以外にも充実したコンテンツがあります。
利用料(フリープラン)
・楽曲登録料は無料だが売り上げから徴収されるパターン(年間更新料なし)
・ストリーミング還元率70%、ダウンロード還元率83%
利用料(ベーシックプラン)
・年間更新料タイプ
・還元率100%
1年間 | 2年間 | 3年間 | |
1〜2曲 | 990円 | 1,980円 | 2,970円 |
3〜6曲 | 2,390円 | 4,780円 | 7,170円 |
7〜25曲 | 4,490円 | 8,980円 | 13,470円 |
Eggs Pass
タワーレコードとレコチョクが共同で設立したEggsが運営する音楽配信代行サービス。
配信代行だけでなく、タワーレコードでの自主盤の販売やライブイベントへの出演のオファーなど、アーティスト活動のサポートにも力を入れています。
※23.12.1 TOWER CLOUD(タワークラウド)からEggs Pass(エッグスパス)に名称が変更されました。
利用料
・楽曲登録料は無料だが売り上げから徴収されるパターン(年間更新料なし)
・還元率80%
ROUTER.FM
初音ミクやサンプルパックで有名なクリプトン・フューチャー・メディアが運営する配信代行サイトROUTER.FM(ルーター・エフエム)。
使用料いらずで、ボカロのキャラクター名やイラストを使えます。
利用料(1回払いきり)
・楽曲登録料+売り上げから徴収されるパターン(年間更新料なし)
・還元率80%
・シングルは1曲10分未満、EPは5曲30分未満、アルバムは6曲から
シングル | 1,380円 |
EP | 2,980円 |
アルバム | 4,600円 |
LANDR
↑上のリンクから登録すると、サブスクプラン、マスタリングプラグインが20%オフになります
AIマスタリングでも有名なLANDR(ランダー)。2014年にサービスを開始し、2017年からは音楽配信代行サービスも行っています。
音楽配信のみのプランもありますが、スタジオプランを選択すると、音楽配信だけでなく無制限のマスタリングやプラグインの提供など、制作面でのサポートを受けられます。
運営はカナダの会社ですが、サイトは日本語化されています。
日本の音楽配信サイト(LINE MUSIC、AWA)に配信可能。
利用料(1回払いきり)
・楽曲登録料+売り上げから徴収されるパターン(年間更新料なし)
・還元率85%
シングル | 600円 |
アルバム | 1,270円 |
利用料(無制限プラン)
・サブスクリプション(年額制)
・還元率100%
ベーシックプラン | 1,620円 |
プロプラン | 3,000円 |
スタジオプラン | 9,600円 |
CD Baby
1998年設立の老舗の音楽ディストリビューター。この記事の最初にCDの委託販売について少し書きましたが、その最大手がこのCD Babyです。名前に名残がありますね。今はCDの取り扱いはやめ、デジタル配信オンリーになっています。
アメリカの会社で日本語非対応ではあるものの、日本語窓口サイトが用意されています。それとは別にCD Baby内にJPのサイトも存在していますが、そちらは稼働しているのかしていないのかよくわからない感じです。
※JPのサイトはなくなりました。
日本の音楽配信サイト(LINE MUSIC、AWA)に配信可能。
利用料(1回払いきり)
・楽曲登録料+売り上げから徴収されるパターン(年間更新料なし)
・還元率91%
シングル | 9.99ドル |
アルバム | 9.99ドル |
・追記(24.4.8)
プロプラン(49.99ドル)は廃止され、シングルとアルバムの1回払いきりプランだけになりました。どちらも9.99ドルです。
プロプランの代わりにCDB Boost(CDBブースト)オプション(39.99ドル)が追加され、これを利用することでより広範囲からのロイヤリティの獲得が期待できます。ただしこれはアメリカ国内をメインターゲットとしたもののようなので、日本を中心とした活動の場合はそれほどメリットはなさそうです。
あわせて読みたい>>CD Babyで自作曲を配信してみた-登録方法・料金プラン解説
DistroKid
↑上のリンクから登録すると7%オフになります
2013年にスタートしたアメリカの配信代行サービスDistroKid(ディストロキッド)。年額22.99ドルで無制限に配信できます。
アメリカのラップデュオJack & Jackは、2015年にDistroKidからEPをリリースし、iTunesアルバムチャートで1位を獲得しています。
海外で人気のあるサービスで、英語圏のフォーラムを見ていると、ディストリビューションの話題でこのDistroKidの名前をよく見ます。日本語化はされていません。
利用料
・サブスクリプション(年額制)
・還元率100%
・Musicianプランは1アーティスト、Musician Plusは2アーティスト、Ultimateは5〜100アーティストで利用可能。そのほか、配信日やレーベル名のカスタマイズなど、機能面での違いがあります。
Musicianプラン | 22.99ドル |
Musician Plusプラン | 39.99ドル |
Ultimateプラン | 89.99ドル |
Ditto Music
↑上のリンクから登録すると、Ditto Music内で使える10ドルのクレジットをゲットできます
2005年設立のイギリスの配信代行会社です。2007年に未契約バンドとしてはじめてイギリストップ40入りを果たしたKoopaは、ここの配信サービスを使っていました。
さらには、エド・シーラン、サム・スミス、チャンス・ザ・ラッパーといったメジャーアーティストが、ここを利用していたことでも知られています。
サブスクで還元率100%とかなりコスパに優れた内容になっていますが、日本語化はされていません。
日本の音楽配信サイト(AWA)に配信可能。
利用料
・サブスクリプション(年額制)
・還元率100%
アーティストプラン | 19ドル |
プロプラン | 29ドル |
レーベルプラン | 69ドル |
Amuse
2015年設立のスウェーデンの配信代行会社。日本の芸能事務所のアミューズとは別ものです。2017年からは共同創業者にブラック・アイド・ピーズのwill.i.am(ウィル・アイ・アム)が加わっています。
対応言語は英語とスペイン語のみで、日本語化はされていません。
利用料(ブースト/プロプラン)
・サブスクリプション(年額制)
・還元率100%
ブーストプラン | 19.99ドル |
プロプラン | 59.99ドル |
・追記(24.3.17)
スタートプラン(無料で還元率85%)は廃止され、サブスクのブーストプランとプロプランの2種類になりました。
ブーストプランは24.99ドル→19.99ドルに値下げ。
あとがき
CDが全盛だった時代、アマチュアミュージシャンにとって自作曲を市場に流通させて販売する、というのはなかなかハードルが高いものでした。
CDの委託販売サービスもあったのですが、CDのプレスなど初期費用がかなりかかる上、プロモーションの方法も限られていて収益も見込みづらいということで、それほど広がることはありませんでした。
しかしその後、ダウンロード販売やストリーミングといったデジタル配信の時代になり、状況は一変します。
アマチュアでもプロと同じプラットフォームに曲をのせることができるようになったのです。
そのパイプ役となっているのが、今回紹介した音楽配信代行サービスです。
自作曲を登録し、世界中の人に聴いてもらえるチャンスをつかみましょう。