アーティスト名・バンド名の決め方 – デジタル配信時代に強い名前

アーティスト名・バンド名の決め方
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自作曲を発表しようと思ったとき、必要になるのがアーティスト名・バンド名です。
気に入った響きや、自分にとって意味のある単語を使った名前にすればいいのですが、そこにはストリーミングが主流となった現在ならではの注意点もあります。

今回は、デジタル配信時代に強い名前の付け方について解説します。

いいアーティスト名とは

一般的にいいアーティスト名の条件としてあげられるのは、以下のようなものです。
もちろん例外もありますが、これから音楽活動をはじめようというアーティストにとっては一定の目安になるかと思います。

・独創的でオリジナルな名前

・検索でトップに出てくる

・短く覚えやすい

・読み間違いをしない

・響きがかっこいいorおもしろい

・いい意味が込められている

・世界中で使える

これらすべてを満たす名前は、まず間違いなくすでに使われているわけですが、それはひとまず置いておいて、この中で一番重要なのは、唯一無二のオリジナルな名前であることです

ほかとかぶらない名前を付ける

ほかとかぶらない独創性

ほかのアーティストとかぶらない独創的な名前、というのはアーティスト名を考えるにあたって最も重要、かつ難しい事柄でもあります。
英単語やアルファベットを用いたそれっぽい名前を検索してみると、すでに使用している人がほぼ確実にいることに気づくと思います。

実際、私はTeeTy(ティーティー)という名前でこのサイトを運営していて、アマチュア向け音楽配信サイトでもこれまでこの名前でやってきたのですが、すでに同名でメジャー系配信サイトに登録している人がいたため、別のアーティスト名を考えなくてはなりませんでした(ちなみにカメルーンの女性アーティストでした)。
自分のイニシャルを少し崩した名前で、かなり気に入っていたんですけどね。残念。

ほかとかぶらないというのは、検索しやすかったり、アーティストとしてオリジナリティを持つという理由もあるのですが、音楽配信サイトで面倒なことにならないため、という実利的な理由も含まれています。

現在では、アマチュアアーティストでもディストリビューションサービスを使うことで、SpotifyやApple Musicといったメジャーな配信サイトに曲を載せることができるようになりました。
かつてのmuzieのような、アマチュア向けの音楽配信サイトというのがほとんどなくなった今、アマチュアの自作曲の発表場所に、そうしたメジャー系配信サイトを選ぶ人も多いと思います。

そうなってくると問題になるのが、アーティストの数の多さです。
メジャー系の配信サイトには、世界中から数えきれないほどのアーティストが集まっています。

音楽配信サイトにおけるアーティスト名というのは早い者勝ちというわけではないようで、同じ名前のアーティストが結構存在します。

私が新しいアーティスト名を考えていたときに思い付いたTeezyという名前があるのですが、Spotifyでこの名前を検索してみると、かなりの数のアーティストがヒットします。
同名アーティストが多くいると、その人の曲を聴きたいと思って配信サイトにアクセスしたリスナーが、どれを選べばいいのか迷ってしまうかもしれません。

同名のアーティストが多数存在している

また、配信サイトで名前がかぶってしまうと、自作曲を登録したときに、誤って同名の別アーティストと紐付けされてしまう恐れがあります。もちろん訂正の申請をすればいいだけなのですが、こうした手間を減らすためにもオリジナルな名前を持ったほうがいいです。

さらには、たとえばアーティスト名を使った商品を発売しようと思ったときに、商標の関係で問題が生じる可能性もあります。
これに関しては、アーティスト名だけでなく、企業名や商品名とかぶっていないかをチェックすることも重要です

そもそも同じ名前のアーティストが存在しているという事実だけで、音楽活動を続けていく上でなにかモヤモヤしたものを抱えることになってしまいます。

アーティスト名・バンド名の作り方

アーティスト名を考える男性

実際にどのようにアーティスト名を付ければいいのかについてですが、これに関しては試行錯誤するしかありません。

ベーシックなやり方としては、まずは自分自身の特徴や出自、自分が作っている曲やそのジャンルからイメージを膨らませ、コンセプトを決定し、いくつかの核となる単語を選定します。色、感情、雰囲気、場所、人数、こういったものの中からピックアップしてみましょう。

あとはその単語を組み合わせたり分解したりして、そこから思い付いた名前をひたすらノートやテキストエディタに書き込みます。その中で特にピンとくるものがあれば、検索してみて実際に使われていないか確かめる、といった作業を繰り返します。

自分の名前をベースに付けてみる

アーティスト名の発想法のひとつとして、自分の名前をベースにするやり方があります。

ファーストネームをローマ字表記しただけだと高確率ですでに使われていると思うので、それのアナグラムで別の単語を作ってみたり、名前の漢字を英語に変換したりしてみましょう。

バンドの場合は、メンバーの頭文字を使ってみるのもいいかもしれません。ただこの場合、メンバーが脱退したときに気まずいことになりますが……。

ChatGPTを活用する

自分の名前のアナグラムを調べるときに、AIアプリのChatGPTを使うと便利です。

「◯◯◯◯、この文字を入れ替えてスタイリッシュなアーティスト名をいくつかリストアップしてください」

自分の名前をローマ字で入れて、こんな感じで質問すると、アナグラムの名前がリストアップされます。

さらに、ある程度アーティスト名が固まったら、

「◯◯◯◯というアーティスト名を考えたのですが、どのような印象ですか」

と質問すると、アーティスト名の感想を教えてくれます。アーティスト名のよくないところも同様に質問しておくと参考になります。

自分の名前を使わない場合でも「これから音楽活動をはじめようと思っています。◯◯に関連したアーティスト名の候補をいくつかリストアップしてください」と質問すると、10個ほどリストアップしてくれます。
◯◯のところには、前述した自分の核となる単語を入れておくと、イメージに近い名前が出てくる確率が上がります(例:海、青色、Tokyo等)。

既存の名前のあとに文字を付け足す手法もあるが…

TeeTyという名前がすでに使われていた話を前にしましたが、TeeTyの後ろにRを付けて、TeeTy-Rにするのもありかなと考えました。X JAPANパターンです。響きがCD-Rっぽくて馴染みやすい名前かなと思ったんですよね。

ただすでにカメルーンのTeetyさんがいるわけで、TeeTy-Rというのはその派生系のように見えてしまうので、結局断念しました。
実際のところ、誰もそんなことを気にするはずもないのですが、やはり自分自身が納得できるオリジナルな名前であることが重要なのではないかと思ったわけです。

名付けの際の注意点

チェックリストと女性

検索してほかに使っている人がいないかをチェックする

ほかとかぶらない名前であるか確認するため、思い付いたアーティスト名で必ず検索しておきましょう。
検索は、アーティスト名なら音楽サブスクもしくはiTunes Store、より広範囲のチェックにはGoogleのWeb検索を使えばOKです。

ほかに使っている人がいなければ、アーティスト名の登録後、Web検索で自動的にトップに出てくるはずです。

ただし、完全に誰も使っていない名前を探すのは本当に難しいです。短めで意味のある単語を使った名前の場合、なにかしら使われていることが多いので。

仮に同じような名前があったとしても、それが日本国外の音楽以外のジャンルで、なおかつあまり知られていないようだったり、個人がSNSでちょっと使っているだけのようなものだったらOKにするなど、自分なりの妥協点を作ることも大事です。そうしないと、いつまでたっても決められなくなってしまいます。

文字を入れ替えて検索かぶりを回避する

たとえばTearsをTearz、TikoをTico、ExtreamをXtreamにするなど、アルファベットを一部置き換えるだけで、検索ヒット数が変わってきます。
また、XtreamをXtreamyやXtreamieにするなど、語尾に変化を加えることでも検索ヒット数を減らすことができます。

ちなみに上であげた名前は適当に書いたものですが、TearzもTikoもミュージシャンの名前としてすでに使われていました。短い名前なので当然といえば当然なのですが。
誰も使っていない名前というのは非常にハードルが高いです。

Youtube、SNS、独自ドメインで使えるかをチェックする

アーティスト活動をスタートさせたあとに必要になるのが、Youtubeアカウント、SNSアカウント、独自ドメインのアーティストサイト(.com推奨)の3点です。

オリジナルな名前を付けた場合は、これらのアカウント名やドメインも、その名前で取得することができるはずです。実際にどれだけ活用するかは置いておいて、ほかの人に取られないようにまずは取得しておきましょう。

商標のチェックをしておく

アーティスト名の登録をする前に、日本においてその名前の商標が取られていないかチェックしておきましょう。Web検索でその名前が引っかからなければまず大丈夫だとは思いますが。

商標の調べ方は、特許庁のサイトに詳しく載っています↓

商標を検索してみましょう | 経済産業省 特許庁

スラングに気をつける

「いいアーティスト名とは」のところに書いた、いい意味が込められている、世界中で使える、という条件に関連することですが、英語系の名前を付けるときに、その単語が悪い意味のスラングで使われていないかチェックしておくことをオススメします。
英語で響きがよくてもなぜか使っている人がいない、という場合、それが意味的によくないものである可能性があります。

日本語名でも、英語のスラングに近い言葉の響きになる可能性もあるので、念のためチェックしておきましょう。

日本語名も悪くはないが…

誰も使っていないオリジナルなアーティスト名を考えるときに、日本語名というのはかなり有利だといえます。というのも日本語は基本的に日本人しか使わないので、英語表記のアーティストと比べて圧倒的に数が少ないからです。

ただ個人的にアーティスト名は、英語、もしくはローマ字表記のものにしたほうがいいような気がしています。
アーティスト活動が完全に日本国内向けなら漢字、ひらがな、カタカナを使った名前でもいいのですが、音楽配信サイトで世界中の人が曲にアクセスできることを考えると、英語(英字)のほうが聴かれるチャンスが多くなると思うからです。ちなみに私は曲のタイトルもすべて英語で統一しています。

また、国内のディストリビューションサービスでは日本国内向けと海外向けに名前の表記を変えられるところが多いですが、海外のサービスだとそういうところは恐らくないです。
日本国内では日本語、海外ではローマ字、といったように表記を分けて配信していると、もし仮にディストリビューターを海外のものに変えたときに、紐付けがうまくいかなくなる可能性があります。

読みにくい名前を避ける

アーティスト名は、パッと見でわかりやすく、なおかつ読みやすいものがオススメです。

たとえば特定のアルファベットを数字に置き換えた名前は、字面的にはかっこよく見えるのですが、かなりうまくやらないと、なんと読んでいいかわからない名前になってしまいます。
deadmau5(デッドマウス)などは初見だと混乱しますしね。

deadmau5の場合はSを数字の5に置き換えているわけですが、日本語名で、「ご」を「5」、「ろ」を「6」といった感じで置き換えるパターンもあります。この場合、日本人以外は読めないので注意が必要です。

また、単語自体は難しくないものの、読み方がわかりづらいケースもあります。
Spacekという海外アーティストがいるのですが、この名前の読み方は、スペースKではなくスペイセックです。
英語ネイティブならともかく、日本語話者だとどちらが正解か迷うと思います。

ひとつながりの単語にスペースやハイフンを入れて区切るか、あるいは区切らないかで、読みやすさや名前の印象が変わってくるので、その点にも留意しましょう。

最初だけ大文字にする

Apple Musicにはタイトルの付け方のルールがあり、ディストリビューションサイトでもそのルールに則ったアーティスト名が推奨されています。

アルファベットを使う場合は、最初の文字を大文字にして、それ以降を小文字にします。すべて大文字、すべて小文字にすると、反映されない場合があります。

たとえば私が使っていたTeeTyという名前は、2番目のTが大文字になっているので、それを小文字に直してTeetyにする必要があります。
スペースを入れてTee TyならOKです。

また、ハイフン・ダッシュ(-)や、スラッシュ(/)、コロン(:)を使ったあとも大文字になります。Tee-Ty、Tee/Ty、Tee:Tyになるというわけです。

アンダーバー(_)だと大文字にする必要はないみたいです。Tee_tyと表記できます。
ofやandなどの前置詞や接続詞を使う場合、oやaは小文字のままにします。

名前のどの文字を大文字にするか小文字にするか、単語の間にスペースを入れるか入れないかという部分にも、アーティストの意図やセンスが関わってくるので、このルールはどうなんだろうと思いますが、たとえば名前のすべてを小文字にしたとして、最初の文字を勝手に大文字に修正する配信サイトと、小文字のままの表記にしてくれるサイトがあるとしたら、それはそれで困ると思うので、素直に従っておいたほうがよさそうです。

思いついた名前を数日寝かせる

悩みに悩んで、調べに調べて、ようやくアーティスト名を思い付いたとします。
それを音楽配信サイトに登録する前に、少し時間を置いてみましょう。

その名前がつねに頭の中にある状態だと自然な名前に見えるかもしれませんが、数日置いてあらためて見てみたときに、ひねりすぎてよくわからない字面や響きと感じるかもしれません。

結局は売れたもの勝ちなのかもしれない

大観衆の前で歌うシンガー

ここまで「いいアーティスト名」や「名付けの際の注意点」について書いてきましたが、結局のところ、どのような名前でも売れてしまえば浸透するし、検索でもトップになるし、長くてもファンが略称で呼んでくれるようになります。身もふたもない話ですが(笑

たとえば、L’Arc〜en〜Ciel(ラルクアンシエル)はフランス語の普通名詞で、日本人にとって決してわかりやすい名前とはいえません。しかし今では誰もが知るバンド名になっていて、検索でもトップに出てきます。

とはいえこれからアーティスト活動をはじめる予定で、そのための名前を考えている段階なら、この記事の最初に書いた、いいアーティスト名の条件に寄せておくのが無難です。そこからはみ出るとしても、ほかとかぶらないオリジナルな名前、これをなんとか見つけ出しましょう。