【初心者のためのミックス講座2】EQ基礎知識編

 

ミックスの基本はボリュームとパン調整と前回(ボリューム&パン編 – 手順とテクニック)書きましたが、その次に大事なのが「EQ」と「コンプレッサー」です。この二つは音質を整えるために使われます。

精巧なものを組み立てるときに、部品を正確に削り出してバリが出ないようきれいに磨いていきますが、それと同じでEQとコンプレッサーを使ってトラックひとつひとつを丁寧に整えて、すべてが集まるマスタートラックに送ります。

今回はこの二つのうち、EQの基本的な仕組みと使い方について解説していきます。

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EQとはなにか

EQとはイコライザーの略で、音の周波数を整える機能のことです。
音には高いところから低いところまでさまざまな成分が含まれていますが、それを削ったり(カット)持ち上げたり(ブースト)するときに使います。

たとえば、ベースの低音が強すぎて音の輪郭もはっきりしないときに、うるさく鳴っている周波数を削って、上のほうを少し持ち上げて輪郭を出す、といったような使い方をします。

EQの種類

グラフィック・イコライザー

グラフィック・イコライザー GEQ-30

グラフィック・イコライザー GEQ-30

バンド(あらかじめ決められた周波数帯)ごとに区切られたフェーダーを上げ下げするタイプのEQです。
オーディオプレイヤーなどについているのはこのタイプなので、馴染みがある人が多いと思います。

パラメトリック・イコライザー

Cubase付属のパラメトリック・イコライザー

Cubase付属のパラメトリック・イコライザー

バンドとその帯域幅(「Q」と呼ばれます)を自由に設定できるタイプのEQです。
DAWの各トラックに標準で搭載されているEQはこのタイプになります。。

グラフィックタイプとパラメトリックタイプ、このどちらを使っても問題ないのですが、音楽制作においてはパラメトリックタイプを使うことのほうが多いです。
帯域幅を決められるので自由度が高いことと、DAWのパラメトリック・イコライザーの場合、リアルタイムで波形が表示されるものが多いので、どういった効果があるのかビジュアル的にわかりやすいからです。
なだらかなカーブを描いた調整をしたいときに、グラフィックタイプだとバンドを何個も調整しないといけないので面倒くさいというのもあります。

一見取っつきにくそうな見た目ですが、仕組みを理解すればすぐに慣れると思います。

EQの使い方

パラメトリック・イコライザー

上はCubaseのトラック付属のパラメトリックタイプのEQですが、これを例に説明していきます。

まず基本的な見方として、縦軸が音量で、横軸が周波数です。
縦軸は真ん中の「0」が基準になっています。横軸は左から右に行くにしたがって低→高となります。

下にはバンドごとの詳細設定が並んでいます。このEQは4つだけですが、もっと多くのバンド数を設定できるタイプのEQもあります。4つあればおおまかな調整はできますが、ボーカルなどかなり細かく調整したいときは、バンド数の多いEQを使ったりします。

それぞれのバンドをオンにすると4つの点が現れます。これをマウスで動かすことで、音の周波数を自由に操ることができます。
もっとも元からない周波数帯域を持ち上げることはできないので、自由といっても限度はあるのですが。

Voxengo CurveEQ

64バンドのVoxengo CurveEQ

EQのカーブの種類

EQのカーブには3つの種類があります(それぞれのバンドの設定欄で選択可能)。ミックスではこの3つを必要に応じて組み合わせて音質を調整していきます。

シェルビング

シェルビング

指定した周波数のポイントから上、もしくは下全体をカット、もしくはブーストします。「シェルフ」ともいいます。

ピーキング

ピーキング

指定した周波数のポイントを頂点にした山型のカーブになります。

フィルター

フィルター

指定した周波数のポイントから上、もしくは下全体を完全にカットします。
低域をカットするのをハイパスフィルター、高域をカットするのをローパスフィルターといいます。上の帯域だけを通すからハイパスで、下の帯域だけを通すからローパスという名称なのですが、一瞬こんがらがってしまうかもしれません。ローカット(ハイパス)とハイカット(ローパス)といったほうがわかりやすいかも。

EQ設定例を紹介しづらい理由

次回から具体例を出して解説していくのですが、じつは楽器ごとのEQ設定例をあまり載せていません。
同じ楽器でも曲のなかでの使われ方によって設定方法もそれぞれであり、音源ごとの質感の違いもあるので、載せてもあまり意味はないかなと。

曲のなかでの使われ方というのは、たとえばピアノのEQを調整しようと思ったときに、ピアノ伴奏がメインのバラード曲では低域までしっかり出したほうがいいですし、ポップスでバッキングがメインの役割のときは低域はベースに任せて削ったほうがいい、といったように、用途によって異なるということです。

EQ調整のコツ

EQ設定の紹介のしづらさを上で説明しましたが、ではどのようにしてEQでカットもしくはブーストする場所を探すかというと、コツのひとつとしてQ幅(EQカーブの山の鋭さ)を狭くして音量の値を極端にし、音を出しながら周波数の高低のポイントを動かしてみる、という方法があげられます。
そうすると音質が明確に変化するため、どこをどう調整すれば、目的の音質に近づけられるかがわかります。

EQ調整のコツ

たとえばハイハットの高音がちょっと耳に刺さるかなと感じたときは、上記の方法でポイントを探り、極端にした値から徐々にゆるやかにして適切なカーブにします。

バイパスを活用する

バイパス(bypass)とは迂回、まわり道という意味の単語ですが、音楽制作では音の入力から出力までのあいだにおいて、バイパスを使用した場所を飛ばしてルーティングすることを意味します。

……とまあよくもこんなわかりづらい説明を書いたものだと自分でも思います(笑

バイパスとは要するに機能のオンオフのことです。

EQではバイパスをオンにすると、設定したEQカーブが一時的に無効になります。つまりフラットな初期状態に戻るということです。バイパスを解除すると設定した状態に復帰します。

この機能を利用して、EQを使ったときと使わないときの差を比較することができます。

バイパスの位置

バイパスの位置はEQによってまちまち

 

NEXT→ミックス講座その3 EQの実践とテクニック・低音編

 

ミックス講座その1 ボリューム&パン編 – 手順とテクニック

ミックス講座その4 EQの実践とテクニック ボーカル編

ミックス講座その5 なぜコンプをかけるのか – コンプレッサーの基礎知識

ミックス講座その6 コンプレッサーの使い方&テクニック

 

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