EQ基礎知識編ではEQの種類や使い方について紹介してきましたが、ミックスにおいて実際にこれをどのように使っていくかについて解説していきます。
今回は低音編です。
EQは低域の処理が大事
曲の周波数調整においては、低域の処理がもっとも重要になります。
低域のなかでも50~120Hz(ヘルツ)あたりがポイントです。この辺の帯域が出ていないと、曲がスカスカになって迫力がなくなるというのは感覚的にわかると思いますが、逆に出すぎていると曲全体が不明瞭になり聴き心地も悪く、音圧も出せなくなります。
低音もしっかり出ている楽器は、単音では迫力のあるいい音に感じられても、音を重ねていくと低域が飽和してしまいます。
低域は基本的にはキックとベースに任せ、そのほかのパートは低域を控えめにする方向で調整していくといいでしょう。
キックとベースの住み分け
低音をしっかり出し、なおかつすっきり聴かせるには、低音界の二大巨頭、キックとベースの住み分けが重要です。
住み分けといってもどちらも低域を広くカバーしているのでわかりやすく区切ることはできませんが、キックとベースのどちらに下を任せるかという上下の感覚を持ってイコライジングすると、帯域のかぶりを防いでしっかりとした音圧を出すことができます。
片方の60Hzあたりをブーストして強調するとしたら、もう片方はその帯域を抑えめにするなど、それぞれの役割を明確にするようにしましょう。
たとえばドラムンベースだと重低音のベースが一番下を支え、その上でキックがリズムを刻む、といったように役割がはっきり分かれています。
どちらが上でどちらを下にするかについては、元の音色によるところが大きいです。
低域が強く出ているキックと抑えめなベースがあったとして、それをEQでベースのほうを下にしようと調整すると不自然になってしまいます。
超低域のカット
キックやベースには超低域成分が含まれていますが、人間の耳にはほとんど聞こえないそのあたりの周波数をカットすると、音のこもりが解消されたり、抜けがよくなったりします。
具体的には30Hzあたりから下をハイパスフィルターでカットします。
注意点としては、低音をカットしていくと音がクリアになっていい音になったように感じるのですが、その反面音の迫力が失われていくことです。なんでもかんでもカットするのではなく、落としどころを見極めることが大切です。参考にしたいリファレンスCDを用意して、プロの音源ではどの程度低音が出ているのかをチェックするようにしましょう。
このあたりの超低域は基本的には邪魔者なのですが、完全に排除すべきかといえばそうではなく、サブウーファー付きのスピーカーや大きいスピーカーで大音量で聴いたときに、なにかもの足りないと感じたならば、このあたりの成分を上げていく必要があります。
と、予防線を張ってみたのですが、まあ基本的には下げる方向でいいと思います(笑
上の画像くらい下げても、30Hz以下が完全にカットされるわけではなくそれなりに出ていますしね。
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