ヒップホップのビートの作り方-ドラムの打ち込み【Trap/Lo-fi】

ヒップホップのドラムパターン

ヒップホップ(Hip hop)は、時代によって大きくスタイルを変えてきました。

その中でも代表的なのは、サンプリングを主体としたブーンバップ(Boom bap)と、近年大きなトレンドになっているトラップ(Trap)です。

今回は、この2つのドラムパターンについて解説していきます。

トラップ(Trap)のビートについて

ヒップホップの一ジャンルであり、ここ数年のトレンドになっているのがトラップです。
一時期と比べれば落ち着きましたが、それでもまだまだ人気のジャンルです。

ヒップホップはアメリカの各地域で独自のスタイルを確立してきたのですが、トラップはサウス系(南部)の流れをくんでいます。

トラップは、重低音と歯切れのいいスネア、そしてクローズドハイハットの細かい打ち込みを特徴としています。

BPMは65〜80。ブーンバップより遅めのものが多いです。

音色はROLAND TR-808系が定番ですが、TR-808そのものの音ではなく、トラップに適した少しローファイな音にエディットすることをオススメします。

重低音はキック単体ではなく、太くて分厚いサブベースとの組み合わせで表現することが多いです。
低音が物足りない場合は、キックのボリュームを大きくするのではなく、ベースとの組み合わせを見直してみましょう。

トラップ その1

Trap その1(BPM150)


一定に刻んだハイハットに、いくつか細かい連打をはさんだシンプルなトラップビートです。
トラップの肝のひとつにこのハイハットの刻みがあります。いろいろなパターンを試してみましょう。

ちなみにBPMは150になっていますが、クラップを3拍目にひとつ配置したハーフタイムのリズムなので、BPMを半分の75にして普通に2拍4拍にクラップを配置しても問題ありません。リズムがつかみにくいという方は75にしましょう。

なぜここでは150を選択したかというと、譜面に表記しやすいというのがひとつと、あとはオーディオサンプルを切り貼りしてドラムパートを組み立てる場合、ハーフタイムにすると編集しやすい、という理由からです。
75で打ち込む場合、細かく打つことが多いハイハットのオーディオサンプルをかなり短く編集して並べないといけないんですよね。

トラップ その2

Trap その2(BPM140)
○はオープンハイハット

2拍目のハイハット


その1よりリズムをさらに複雑にしたパターンです。マスタリングのやり方とテクニックの項で使っている自作音源のドラムパターンをベースにしています。

ハイハットの2拍目は細かすぎたので別画像(※)で表示しています。
※の縦線は64分音符のグリッドです(BPM140の場合)。最初の3つのノートは32分音符の3連符で、最後の4つは128分音符になっています。こういう並びにすることで、ぜんまいばねがほどけたときのような勢いのあるハイハットロールにすることができます。

また、ここではキックやスネアといった基本の打楽器のほかに、クラベスを使ってリズムに装飾を加えています。TR-808のクラベスやリムショット、カウベルは、トラップと相性がいいのでオススメです。

2小節目の3拍目だけにリバーブを効かせたクラップを配置しているのですが、これはリズムにちょっとしたアクセントを加えるためです。細かいところですが、こういう部分にちょこちょこと手を加えていくと、リズムが重層的になって完成度が上がります。

特にヒップホップはループでできている曲がほとんどで、ポップスのような展開のあるものは少ないです。そのためトラックを細密に作り上げ、リスナーを飽きさせないようにする工夫が必要になります。

トラップ その3

Trap その3(BPM140)


これまでのドラムパターンではハイハットはチキチキと鳴らしっぱなしだったのですが、ここでは数を減らしてタメを作っています。

2小節目の4拍目には3連符を配置。これによってリズムに軽い変化が生まれます。

このドラムパターンで注目すべきは、ハイハットとスネアのピッチ(音の高さ)の変化です。トラップでよく使われるテクニックで、特にTR-808のスネアのロールをピッチ変化させたフィルインがあると、トラップらしさがぐっと上がります。

ここではピッチの編集にCubaseのサンプラートラックを使っています。オーディオファイル(VSTインストゥルメントでもOK)をサンプラートラックにドラッグ&ドロップすると、MIDIデータと同じように扱うことができ、打楽器でも簡単に音程を上下させることができます。

4小節目のハイハット
Cubaseのサンプラートラックでピッチを編集

Cubase以外のDAWでもソフトサンプラーが付いているものが多いので、それを使えば同じことができると思います。

ブーンバップ(Boom bap)のビートについて

ブーンバップとは、サンプリングが主体の太くてザラついたヒップホップのビートのことを指します。

この言葉自体は昔からあったのですが、近年主流のトラップと対になるものとして最近では使われています。

サンプリングが主体といっても、現在では著作権の問題で昔のレコードから切り貼りするのは難しくなっているので、それっぽい音色を使ったサンプリング風なものも多いです。

BPMは85〜100ほど。ラップをのせやすいテンポが基本ですが、もちろんこのBPMの幅からはみ出すものも数多くあります。あくまで目安ということで。

ちなみにブーンバップの「ブーン」とは、重厚なキックの擬音語で、「バップ」は切れ味のある強烈なスネアの音を指します。

このことからわかるように、ブーンバップ系においては音色選びが非常に重要です。ローファイで分厚い音色を選びましょう。

ローファイ・ヒップホップについて

メインストリームではないのですが、近年にわかに人気を集めているのがローファイ・ヒップホップ(Lo-fi Hip Hop)です。

Youtubeで、スタジオジブリの「耳をすませば」の雫が勉強しているシーンのサムネイルを見たことがある方も多いと思います(現在はオリジナルのものに変更)。
ローファイ・ヒップホップは、そのチャンネル(Lofi Girl/旧ChilledCow)のストリーミングがきっかけで人気が出はじめました。

このローファイ・ヒップホップというのは、勉強しながら聴けるようなリラックスしたムードのヒップホップのことなのですが、そのビートは基本的にブーンバップです。
というわけでローファイ・ヒップホップを作ってみたい方は、ブーンバップを押さえておきましょう。

ブーンバップ その1

Boom bap その1(BPM90)


ローファイなハイハットを8分で刻んだ、ブーンバップの定番ドラムパターンです。
3拍目のひとつ前にキックを置き、ドドッド、となるパターンは本当によく使われます。

ブーンバップ その2

Boom bap その2(BPM90)


かなりざらついたノイズ混じりのビートですが、この上にベースやラップを重ねると、味のあるサウンドになります。

見てわかるように、キックが少し多いくらいでパターン自体はそれほど複雑ではありません。とにかく音色命という感じですね。

トラックメイクにサンプルパックを活用しよう

ヒップホップのビートやベースを作るときに、手持ちの音源をひたすらエディットして目的の音に近づけていくのもいいのですが、サンプルパック(ジャンルに合わせたサウンドが収録された、市販のサンプル集)を使って近道するのもアリです。

もちろん一から自分で作り出したオリジナルなサウンドはかけがえのないものですし、音作りの力も磨かれるので決して悪いことではありません。

しかし目的の音が明確にあって、そこに近づける作業であるならば、最初からその音を収録したものを購入して、それを自分の曲に合わせて編集していったほうが、最終的な曲の完成度や満足度が高まる場合が多いです。

というわけで音作りに悩んでいる方は、サンプル販売のSONICWIRE(ソニックワイヤ)やSplice(スプライス)をチェックしてみましょう。