天井から舞い降りる1枚の生地に、モデルが両腕を通すとドレスになる。
イッセイミヤケのパリコレでの演出が、ファッション界を越えて話題になっています。
Acrobatic ballerinas in parachute-like gowns twirled at the Paris debut of Satoshi Kondo, Issey Miyake’s new designer pic.twitter.com/FbKg89OHJO
— Reuters Top News (@Reuters) September 27, 2019
しかしここはDTMサイト。
注目したのはファッションのほうではなく、ショーの音楽についてです。
このショーでは、元から用意してある音源を使うのではなく、女性アーティストのライブパフォーマンスをBGMとしています。
このライブパフォーマンスというのが電子機材を使ったものであり、その場で自分の声をループさせて曲を構築するなど、かなり興味深いものでした。
今回は、そんなライブパフォーマンスを行った女性アーティストと、その使用機材について解説します。
フランス人アーティストDeLaurentis
今回のイッセイミヤケのショーでパフォーマンスを行ったのは、フランスの女性シンガー/プロデューサーのDeLaurentis。読み方はおそらくデ・ラウレンティスだと思われます。
実際に行ったのは以下のようなパフォーマンスです(DeLaurentisのInstagramより)。
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イッセイミヤケのサイトでフルバージョンが見られます。
3:15〜くらいから、DeLaurentisがひとりでパフォーマンスをしているシーンがあります。
音楽ジャンルとしては、ポスト・クラシカルが一番しっくり来る感じがします。エレクトロニカやポップス、クラシックの要素が入り交じっている感じです。
DeLaurentisの特徴としてあげられるのは、自分の声を、楽曲の構成要素として活用していることです。
シンプルに歌うこともあれば、声を加工したり、ループさせたりして、楽器のように扱うこともあります。
今回のライブパフォーマンスにおいても、リアルタイムで声をループさせて使用しているシーンが見受けられます。
使用機材はABLETON Push 2
DeLaurentisが今回のショーで使用した機材は「ABLETON Push 2」。DAWソフト「ABLETON Live」に特化したMIDIコントローラーです。
商品名に2と書いてあることからもわかるように、Pushには初代版もあります。DeLaurentisはそちらも所有していて、2つ並べてパフォーマンスや楽曲制作に使用しているようです。
この機材はMIDIコントローラーなので、単体で使うのではなく、DAWと組み合わせて使用します。
64個のパッドと多くのツマミやボタンによって、ABLETON Liveの再生や編集をハンズオンで直感的に操作できます。
また、パッドに音色をアサインすることで、演奏機材としてキーボードのように使うことも可能です。
ちなみに映像の中でPush 2の隣に2つ並べられているのは、「AKAI PROFESSIONAL LPD8」。こちらもパッドを搭載したMIDIコントローラーです。
別のメーカーなのですが、Push 2の奥行きとLPD8の幅がほぼ同じな上に、色もブラックなので、Push専用の追加パッド機材かのように見えます。
イッセイミヤケのショーを見た感想
見る人を楽しませ、驚かせる素晴らしいショーだったのですが、DeLaurentisや舞台装置に関わる人たちのプレッシャーは凄まじかっただろうなと感じました。
ひとりでライブパフォーマンスをする場合、機材が不調ならいったん音を止めてチェックしたり、喋りでなんとか場を繋いだりすることもできると思うのですが、このショーの場合はモデルの動きなどすべての演出が繋がっているので、絶対に失敗が許されない状況です。
そんな中、リアルタイムでパソコンと連動した機材を使って音を作り出すというのは、よほど機材を信頼していないとできないと思います。
このことからもABLETON LiveやPushが、ライブの現場で問題なく使える安定性を備えていることがわかります。
とはいえ自分だったらと考えるだけで胃が痛くなってきますね(笑
このショーに関わったすべての人にリスペクトです。